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2020年度 神奈川県公立高校入試問題を総括しよう

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2020年4月現在、コロナウイルスが猛威を振るう中、小中学校だけでなく、高校も大学も休みになり、学習塾さえも休業を余儀なくされています。受験生にとっては、先の見えないこの状況は、非常に心配ですよね。子供たちの学びを止めないためにできることは何なのか、経済対策や医療対策とともに重要な問題です。

さて、今回は今春2020年度(令和2年度)の神奈川の公立高校入試問題を振り返ります。学校が休みの今こそ、前学年の復習や自分の弱点克服のための学習ができる良い機会であると捉え、そのための一助になれば嬉しいです。

 

 

2020年度入試の平均点は?

神奈川県教育委員会は3月24日(火)に「令和2年度神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果」を公表しました。この発表資料をもとに、学力検査の合格者平均点の推移を下にまとめました。

英語 49.4(-0.4)
数学 55.7(+5.4)
国語 69.1(+10.0)
理科 55.9(-5.9)
社会 58.2(+15.7)
合計 288.3(+25.3)

まず、5教科全体の合格者平均点について、2020年度は288.3点と2019年度から約25点上昇していました。今年はマークシートが導入されて、4回目の入試でしたが、平均点からは大幅な易化といえます。今年の平均点は、直近の3年間の中では最も高くなりました。

昨年3月の県教育委員会では、数学での正答率の低い問題の多さ、理科の平均点の高さ、社会の平均点の低さなどが、問題点として指摘されていました。今回の難度の変更は、この点を見事に反映したものといえます。

つまり、平均が高いと言われていた理科の得点は6点近く下がり、平均が低いと言われていた社会は15点も上昇しました。正答率が低い問題が多いとされていた数学も5点以上上昇しています。

個人的には、国語が高すぎること、英語が低すぎることが気になりますが、これは今後の動きに注目ですね。

 

参考) 過去の平均点い関する記事はコチラ

神奈川県公立高校入試の難易度や平均点について - in my life

  https://www.slow-life.work/entry/2019/06/26/070000

教科別の難易度

理科

教科別では理科が、2019年度易化の反動で難化し5点ほど下がりました。しかし、2018年は平均点が45.3点であったこと、それ以前は平均点が50点以下であったことを考えると、直近2年間は長期的には易化傾向であり、恐らく2020年度の55.9点は県教委の狙いに近い難易度であったのではないかとも考えられます。全国でも屈指の高難度だった2014年・2015年はもちろんのこと、2016~2018年ほどの難しさはすでにありません。

数学

数学・国語・社会は比較的取り組みやすい問題だったこともあり、それぞれ合格者平均点は上昇しました。数学では大設問の数が減ったり、出題の順番が変わるなど形式の変化はありましたが、落ち着いて取り組んだ生徒は得点をしっかりと伸ばしたと言えます。私の教えている生徒の中にも「証明問題はいつも最後だったのに、途中で出てきたのでびっくりした」という生徒もいましたが、そのほとんどが数学を苦手にしている生徒であり、数学を得意とする人ほど、昨年よりも得点しやすかったのではないでしょうか。

国語

国語は今回69.1と最も平均点が高い科目でした。3年間の平均点の推移を見ていくと、2018年度(65.6点)→2019年度(59.1点)→2020年度(69.1点)と推移しています。昨年大幅に平均点が下がり、その反動で今年は直近3年間で最も高い平均点となりました。特に古文は解きやすく取り組みやすい問題でした。

社会

平均点が15点も上昇した社会ですが、ここまで平均点が上昇した要因は得点分布の上位層です。80点以上の得点を取った生徒の割合が、2018~2019年度は3%ほどでしたが、2020年度は20%を超えました。また、今年の傾向としては、公民の正答率の高さもあげられます。情報社会に関する説明や医療費負担に関する問題などは正答率が95%ほどでした。社会では単なる知識の暗記ではなく、資料やグラフを活用する力も必要になっていますから、そのような問題のトレーニングが大切です。

英語

英語は相変わらずの高い難易度であり、5科目の中では唯一平均点が50点を切っています。得意な生徒は高得点が取れる反面、苦手な生徒は全然取れないという2極化が顕著です。語学ですから、短期間ではなかなか力がつきません。中1~2年生のころから英検なども活用し、コツコツと力をつけてほしいです。

まとめ

結果の概要には、以下のような問題では正答率が低かったとあります。
・条件を正確に読み取り考察することが必要な問題
・知識や与えられた情報を条件に合わせて整理し、活用する問題
・複数の分野で学習した知識・技能を活用した思考力・判断力を問う問題及び、概念の理解を問う問題
ここから、受験生に求めている力がよくわかりますし、対策の方向性も見えてきますね。
つまり、基礎知識をきちんと身につけ、それを結びつけながら物事を考えて理解を深める、一方向だけでなく異なる視点からも考えてみるといった訓練を日ごろから積んでおく必要があるといえます。

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特色検査

どんな問題だったの?

2020年度は県立の進学重点校と同エントリー校の計17校で共通問題と共通選択問題を組み合わせた形式による特色検査が実施されました。

全校共通の問1・問2に加え、共通選択問題の中から学校ごとに2問を選んで出題するというスタイルは2019年度と変わりません。

しかし、2020年度の特色検査平均点は2019年度より大きく下がったようです。その要因の一つは、2019年度は取り組みやすかった問1が、2020年度では大きく難化したことです。はじめの問題が思ったより難しかったことで、後半の時間不足や心理的な「あせり」などが影響したのではないかと思われます。

さて、多くの受験生が苦戦したと思われるのが共通問題の問1ですが、どのような問題だったのでしょうか。

英語の会話文をベースに展開され、缶を題材に数学の知識を問う、さらにリサイクルをテーマにした資料(グラフ)を読み取って解答するという教科横断型の出題でした。選択肢も複雑で、正解を導くまでに非常に手間と時間がかかる難問でした。いきなりこの問題ですから、時間を使って解くのか、飛ばして後半の問題に先に取り掛かるのか、という判断も重要でした。

共通選択問題は2019年度の4問から1問増え、5問(問3~問7)の中から各校が2問を選択しました。

漫画「コボちゃん」を題材にした表現力をみる新しいタイプの出題がされたことは特徴的で、昨年まで作文による独自の特色検査を実施していた横浜緑ヶ丘高校や、新規の実施校である川和高校、光陵高校、多摩高校の4校で採択されており、湘南高校や翠嵐高校など、既存の実施校(7校)では採択されていません。

特色検査で合否が決まる?!

進学重点校や同エントリー校など特色検査の実施校では学力検査の易化で差がつきにくくなっています。つまり、これらの学校では、学力検査(5教科)の受験者平均は概ね400~450点に上がり、受験生の得点が接近しているのです。そのため、差のつきにくい学力検査にかわって、特色検査の得点差が合格・不合格に大きく影響しました。

特色検査については、これまで以上にしっかりとした対策を行う必要がありますね。

 まとめ

さて、2020年度の神奈川県の公立高校入試問題についてまとめました。今現在、コロナウイルスが猛威を振るい、小中学校はもう2か月近く休講になっています。全国に緊急事態宣言も出て、5月以降もどうなっていくのか、先の見えない状況です。受験生の皆さんは、思うように勉強ができない状況ですから、本当に心配ですよね。

でも、条件はみな同じなのですから、できることをコツコツやっていきましょう。冒頭にも書きましたが、学校が休みの今こそ、前学年の復習や自分の弱点克服のための学習ができる良い機会であると捉え、前に進んで行きましょう。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 


参考) 過去の平均点い関する記事はコチラ

   神奈川県公立高校入試の難易度や平均点について - in my life

 https://www.slow-life.work/entry/2019/06/26/070000